After the Pleistocene

A memory of my ramble
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ドリーム・ビジョン
 ヘッドホーンの形をしたその器具は、パッドの中央にやわらかい耳栓のような突起がある。両耳の中に当てると内耳の器官に作用して、脳波の微妙な振動をキャッチできる仕組みを持っているらしい。ドリーム・ビジョンと名づけられたこの最先端の電子機器は、我々が頭に描いた構図をバーチャル・スクリーンという器具で直ちに投影できる設備が発明されてから3年後に商品化された。
 昔のポータブル・ステレオ(確かウォークマンと称していた)ぐらいの小型の装置のドリーム・ビジョンは、寝る時にこのヘッドホーンを着けて寝ると、見た夢を録画しておいてくれる優れもの。最初は精神分析医が密かに使っていたのが、いつの間にか小型化され一般に普及した。誰でも楽しい夢はなんべんでも見たいもの。たちまち若者にも、老人たちにももてはやされた。
 しかし、夢は楽しい夢だけとは限らない。殺されるような、冷や汗を流す恐ろしい夢もある。愛しい人と別れてしまう悲しい夢もある。ドリーム・ビジョンのニュー・バージョンが発売されたのは、それからわずか2年後であった。この新機種をつけていると、夢の途中からストーリーはいつも間にか修正されて、どの夢もハッピー・エンドになるようになった。お金がなくてもいつも億万長者の夢が、愛する人が亡くなってもいつも一緒の夢が、見れるようになった。
 その1年後、アフリカの某国の選挙が、それまでの世論調査と全く違った開票結果をもたらしたものは、このドリーム・ビジョンの所為ではないかと噂された。泡沫としかみなされなかった候補者が軒並み当選してしまったから。ドリーム・ビジョンが投票日前日、見事なプロパガンダを人々の頭脳に注入したことが、2948年の国連の調査で判明した。
 
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