After the Pleistocene

A memory of my ramble
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ヴィスコンティ 「山猫」
 ボナ・セ〜ラ! というわけで19世紀半ばのイタリア、シシリーの貴族の館で開かれるパーティに皆さんをお連れしたい。ワルツの調べに緩やかに舞う男女、マズルカの軽快なリズム、サリーナ公爵ドン・ファブリツィオ(バート・ランカスター)の目の前、大広間で繰り広げられる舞踏会は、彼にとって昔の面影、失われた時代の懐かしい最後の残影の如く展開したのではないかと思う。絢爛としてひときわ晴れやかな衣装、派手な色彩の軍服などなど。
 山猫というより豹、いやむしろライオンというべき大貴族の姿に圧倒される。彼は時代が変わってゆく有様を、身じろぎもせず眺めている。自分たち貴族の世界が終ろうとしているとき、革命と反革命の波を上手に乗り切ろうともせず、(甥のタンクレディ・ファルコネリ(アラン・ドロン)はうまく世渡りしているのを横目に見ながら)勃興し始めたブルジョワ市民階級に多少の理解を示しつつも、その薄っぺらな成金趣味を軽蔑している。先祖代々受け継がれてきた特権的な身分がまもなく崩壊するのではないか、という不安がひたひたとわれわれにも伝わってきた。タンクレディの婚約者アンジェリカ(クラウディア・カルデナーレ)と公爵が踊る場面は、優雅でそして悲しみに満ちている。
 ヴィスコンティの映像は、フラッシュバックすることもなく、急激な場面転換もなく実に堂々とこの時代の一断面を切り裂いてゆく。1830年代から始まったイタリア革命運動は、1860年に革命児ガリバルディが征服地をサルジニア王に献上することによって、ようやくイタリア統一が成し遂げられる。しかしそれは同時に、急速に国家の体裁を形作ろうとする反革命の波に曝されることになる。同時代の明治維新でもそうだった。破壊を推し進めてゆく革命のエネルギーを少し押し止めて、建設の仕事をしなければすぐに列強が侵略してくるきわどい瀬戸際という認識。
 公爵邸に食事に招かれたアンジェリカの哄笑がすばらしい。貴族社会全体を笑い飛ばすほどエネルギーに溢れて、見る者、聴く者をぞっとさせる。こんな大きな笑い声は、「マイ・フェアーレディ」のヒギンズ教授の場面しか思い出せない。
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山猫
1963年 イタリア 1964年公開 評価:★★★★★ 監督:ルキノ・ヴィスコン
| 銀の森のゴブリン | 2007/12/04 12:59 AM |