After the Pleistocene

A memory of my ramble
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松本章男 「業平ものがたり」
 昔の歌詠たちは何百という歌の引き出しを頭脳に持っており、一つの歌が持ち出されると、その歌がどんな状況で誰が詠ったか、それに対してどう相手が反応したか、それが別の場面、別の人物ではどう変化したか、たちどころに引出される。それが彼らの高い教養の現れでもあった、と高校の古文の時間の始めの頃教わった。小野小町などと並んで三十六歌仙の一人に選ばれている伊勢は、平安中期の代表的な歌人でもあった。小倉百人一首に選ばれた歌。
   
  難波潟短かき蘆の節の間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや 

 そんな高級女房の一人である彼女が、当時僅かに残されていた業平の一代記をバラして、その政治的色彩を薄めて編纂し直した、と著者松本章男は述べる。彼女自身も時の藤原政権に批判的で、業平の生涯に強いシンパシーを抱いていた。だから『伊勢物語』というのだという。私はこれを初めて知った。単に色好みの男というだけでない政治的な不遇を。
 この日本一のモテ男と言っても良い在原業平という人物は一体どんな男だったのだろうか?背が高いとか太っているとか髭面だったとかすばしっこいとか、冗談を言ってよく人を笑わすとか、そんな風貌はどこにも出てこない。その場の人々を感激させて落涙させることはあっても、自分は決して泣いていない。 
 
  なにし負はばいざこと問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと  とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり

 しかしこの男、実にマメに女性の面倒を見る。武力的な側面は全くないが、経済的に女性を面倒を見るようなことを後年にはしている。製塩の事業で成功したようだ。意外と骨太な実態を垣間見る感じがする。「実在の人物でありながら架空の衣装を着せ、架空の人物と見せかけて、実在の人物の名を語る」、これは伊勢だからできたことであって定家では無理だったかも知れない。
 物語最大のラブアフェアは伊勢神宮の斎宮恬子(てんし)内親王との禁断の恋。まさに身も心も張り裂けんばかりの短いひととき。「まだ何ごとも語らはぬに、(女は)帰りにけり。男、いと悲しくて、寝ずなりにけり。」

  君や来し我や行きけむおもほえず 夢か現か寝てかさめてか

 
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