『映画の主演者たちは実際の事件の当事者であった。』なんていうことがで今まであったろうか? その意味で監督クリント・イーストウッドは凄いことをしでかしたといえる。今後映画に出演している仮想の(ヴァーチャルな)犯罪者が、実際の罪人になることだってあり得るかもしれない。劇上劇は劇になりえるだろうか?
アレックス・スカラトス、スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラーの三人は幼い頃からの友達だった。しかも彼らは絶えず校長室に呼ばれる落ちこぼれに近い生徒であった。でも彼らなりにそれぞれ非行にはその理由があったのだった。必ずしも満足した成長を過ごしたとは言えないが、青年になった三人が仲良く一緒にヨーロッパに旅行する。そして、アムステルダム15時17分発パリ行きのタリス高速鉄道にテロ犯罪者と乗り合わせる。
私は恥ずかしいことにこの事件を全く知らなかったが、ゴク普通の三人のアメリカ青年たちが見事な協力で大惨事になるところを未然に防いだことは、確かにレジオン・ドヌール賞に値すると称賛しないではいられない。犯人は自動小銃AK47などの武器を携帯し、300発もの弾丸を用意していた。ヨーロッパ高速鉄道タリスの車両内部が血の海となる惨事だって予想された。
2011年のノルウェー・ウトヤ島でのテロ(77人死亡、約100人負傷)以来、2015年のロスアンゼルス(14人死)パリ同時多発テロ(130人死亡、300人以上の負傷者)2016年のフロリダ(49人死)2017年はラスベガス・マンダリンベイホテル前で(58人死、525人負傷)2017年トルコ(39人死亡)など近年立て続けにテロ事件は発生している。狂気の連鎖は止みそうにない。狂っているのは特定の宗教信者たちだけではない。