After the Pleistocene

A memory of my ramble
CALENDAR
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< June 2018 >>
SPONSORED LINKS
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
MOBILE
qrcode
PROFILE
OTHERS
無料ブログ作成サービス JUGEM
対訳シナリオで見る「英国王のスピーチ」

JUGEMテーマ:映画


 身分を隠して現れた女性から「主人の吃音症を治してほしい。」と頼まれたオーストラリア出身の言語矯正士ライオネルは、その主人ヨーク公(愛称バーティ、後のキング・ジョージ6世)と初対面の時に、まずあなたをなんとお呼びしたらよいかと尋ねる。この紹介のやりとりは、ライオネルの妻、マートルが初めてこの皇子夫妻にあったときにも繰り返される。後の王妃エリザベスのユーモアあふれる対応とともにほろッとする場面だが、別室に居たバーティがすぐ飛び出してゆこうとするところを、ライオネルは抑えてしまう。なぜなのか?人は極度の緊張状態では考えがまとまらない、言葉が出てこない、この吃音が生じる基礎的な状況に誰しも陥ってしまうのだとわれわれに教えてくれるのだが、二言三言話しただけで出身階級がわかってしまうというイギリス社会の一片も覗かせる。
 矯正法についてバーティとライオネルの間でなんどもぶつかり合い、(口の中にビー玉をいっぱい詰めてしゃべらせたり、腹筋を鍛えたり、早口言葉を練習したりなど、その間いろいろな矯正法を試している)バーティの成長期におけるゆがんだ心理的圧迫がその底に横たわっているのだと次第に明示される。聡明な(?)兄(のちにシンプソン夫人の問題で1年足らずで退位したエドワード8世)や、好きなおもちゃは取り上げられる、左利きを無理やり右利きに直されるなど皇室の窮屈な雰囲気で育てられた。
 いよいよ戴冠式が行われようとなったとき、そのリハーサルの場でまたもやバーティとライオネルの間で火花が飛び散った。大司教に少し冷たくされたバーティが、いら立って「ドクター・ローグ」と呼びかける。ドクターの称号を名乗っていないライオネルが「ドクター」と言われて鋭く反応する。これは星室裁判所の尋問かと?(イングランドの星室裁判所を知っている人は相当英国史に詳しい人だろう。)
 戴冠式の聖なる椅子、聖エドワードの椅子にちゃっかり座るライオネルに対し烈火のごとく怒ったバーティに対し、「キングなんかにはなりたくない」とわめいていた男の話をどうしていま聞いてあげねばならないのだ、とライオネルは反論する。それに対し「なぜなら私は聞いてもらう権利があるからだ。」とバーティは叫ぶ。
     Because I have a right to be heard!
     Heard as what?
     I have a voice.
      Yes you do.
これは王様だけでないすべての人々の叫びだったろう。大戦から帰還したものの戦争神経症(shell shocked)に陥って死ぬほどちじこまってしまった兵士らの声を聞いてやれない歪んだ社会の仕組み。誰にもその言葉を聞いてもらう権利があるのだと主張するものだった。
 アカデミー賞脚本賞(脚本デヴィッド・サイドラー)を得た作品を今更すばらしいと褒めるのもおこがましいが、実に脚本の構成が緻密でリズムがある。英独二国間のコンフリクトを忘れさせるほど二人のそれは緊張に満ちたものであった。監督 トム・フーバー
| Movie | 12:10 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
春の大運動会

JUGEMテーマ:モブログ


 小学4年生になったリリーちゃんの運動会に行ってきた。私が最近よく散歩に来る谷津干潟のすぐ隣にある谷津南小学校は、校庭が広くてなかなか気持ちがよい。リリーちゃんは応援団の一員に加わって大きな旗を振り回していた。うちの孫娘も100メートルの徒競走では3着に、障害物競争では1着トップになった。いつの間にか背丈も伸びて(1.38m)ちょっとやる気が出てきたように思える。
 子供の競争では最初の10メートルぐらいでついた差は、拡がりこそすれなかなか縮めることができないが、頑張っているならゴールまであと10メートル、20メートルのところで、相手が先に疲れてきたり気を緩めたりするので、僅かに先着の可能性がある。だから「あきらめるな!」といったり、「がんばれ!」と一生懸命声援を送るのだが。
 父兄の応援席にキャンプ用の丸い小さなドーム型のテントが、ぐるり密集して張られているのが最近の新しい傾向か。確かに強い日差しに対しては効果がある。(昔ながらに本部席や来賓席はきちんとしたテントが張られている。)自分の子供たちが登場するときは観覧席に出張ってゆくが、若い父親たちはカメラマンとしていつも忙しい。
 この小さなテントでは、太宰治の『津軽』の情景を思い出した。小さい時に別れ離れになってしまった乳母のタケさんと何十年振りかに津軽の小学校の運動会で再会する。二人は掛小屋みたいなところから運動会を見ている。校庭ではカケアシをしているのか、綱引きをしているのか、それとも玉入れなのか、そんな運動会の描写はなにもないが、ぼんやりとしたそんな背景の中に、過ぎ去った昔の鮮明な記憶がお互いよみがえってくる。
| Diary | 23:29 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
幸田 文「こわれた時計」

JUGEMテーマ:読書


  幸田露伴の人となりは、幸田文の随筆によってなお広く豊かに伝えられた感がする。その厳しさ、その優しさ。私は幸田文を生んだ母親が若死にした後、彼がどんな仔細で後妻を得たのか知らないが、晩年この女性では大変苦労したようだ。結婚した先の商家が次第に左前になって文が大変な思いをしている時に、その彼女は信州の田舎から壊れた時計を送り治してくれと頼んできた。文はしばらくほったらかしにしていた。そこで父・露伴が語る。
 
「重荷に小付で、さぞ迷惑したろう・・・・めいめい自分の負うべき重荷は、これはどうあっても仕方がないが、そこへ横合いからかってに小付を乗せられては誰も迷惑する。小付は些細な荷だが、身一杯の重荷を背負っている時には、その些細な荷重が怪我のもとになる。遠慮はいらない、小付はおろすことだ。今すぐおろすことだ。」
 時計のとの字もいいませんし、私にもいわせませんでした。言って筋が通る話ではなかろう、というのです。促されて、私は父の目の前で時計の荷造りをし、宛先を書きました。
「困じごとにからまれて心くらむことがあったら、目を閉じて・・・・・・・心の凍てつくとき、目を閉じて、身は伊豆のいで湯の中と思ってごらん。湯を思えば、湯はきっと答える。」
| Book | 11:31 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
映画「ウィンストン・チャーチル」

JUGEMテーマ:映画


 ヒトラーのドイツによって欧州戦線が崩壊の危機に立った時、チャーチルがたまたま迷い込んだ地下鉄の中での出来事。(彼はそれまで地下鉄に乗ったことがなかった。)乗客たちとの会話から、物語はぐんぐんクライマックスへと進む。ナチス・ドイツに降伏すべきかというチャーチルの問いに、乗客たち皆NEVER"と声を揃えて彼を励ます。それから彼の有名な演説We shall never surrender."の議会演説に昇りつめてゆく迫力がすばらしい。映画が切り取った時間は、チャーチル組閣のときからダンケルク撤退までの僅4週間ばかりなのだが、永遠に記憶される歴史となった。
 同じ日々を描いた映画「英国王のスピーチ」では、これからナチス・ドイツに対し宣戦布告を行う吃音症に悩むジョージ6世に対し、自分も言語障害があったとチャーチルは告げて国王の緊張をほぐす。実際チャーチルの記録映画を見るとその声は少しくぐもって聞こえる。しかしゲイリー・オールドマン演じるチャーチルは非常に明瞭で、そのメーキャップはアカデミー賞を得たように、見事に彼を再現している。(これが映画「レオン」でとんでもない刑事役演じたゲイリー・オールドマンと思えるか。)それにしてもいつも思うのだが、イギリス議会の議場の雰囲気は名優の舞台を彷彿とする感がある。
映画は大勢のイギリス市民が自ら自分のヨットや船舶を繰ってダンケルクに駆けつけ、55万8千人を助けた撤退作戦を開始する場面で終わるが、ドイツにおける親イギリス派とイギリスにおけるドイツ宥和派との絡みはなかなか興味がある。チャーチルが第一次大戦の海軍大臣のとき採ったガリポリの戦いの失敗が非常に彼の足を引っ張っているのは分かるが、諜報活動インテリジェンスを好む姿はここには描かれていない。
 監督 ジョー・ライト 妻 クリスティン・スコット=トーマス 秘書 リリー・ジェームズ 
| Movie | 22:34 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
混迷の中東情勢

JUGEMテーマ:モブログ


 意識不明の赤ん坊を必死に介抱する映像に見られる、シリアのダマスカス郊外で起きた毒ガス攻撃に対し、アメリカのトランプ政権はシリアのアサド政権の仕業とみなして、100発以上のミサイルをシリアに昨日発射した。これはますます熱い戦争になってきた。(このミサイルをロシア製の応撃ミサイルがかなり撃ち落としたという。)
 昨年春以来のアメリカの実力行使だが(イギリスやフランスも化学兵器の使用は許さないとして同調しているが)、判りづらいのは地政学的に見てロシアやトルコがイランと一緒になってアメリカを非難していることだ。イランとアサドのシリア政権はシーア派のイスラム教徒。シリアやイラクにまたがる「イスラム国」を標榜する反政府勢力はスンニ派が主力。サウディ・アラビアはイランに敵対する厳格なスンニ派のイスラム教徒。イスラエルも反イスラム勢力として、イランの核装備を非常に警戒している。またサウディ・アラビア王家に敵意を抱くシリア隣国のヨルダンはイスラエルに同調する。そしてこの中東全域に昔のオスマン・トルコの幻影を抱くトルコが一番警戒しているのは、シリア・イラク・イランにまたがるクルド人の国家の成立だ。そのためアサド政権を維持しなければならないと思っている。サウディ・アラビアがアメリカの基地を嫌ったり、ロシアから原発を購入していることも中東混迷の原因となっている。
 ロシアがイギリスでKGBの元スパイを毒殺して互いに非難の応酬があり、英米仏とロシアは国交断絶とまでは行かないが互いに外交官を追放している。アメリカは中間選挙を控えてトランプ政権はガタガタしたままで、米中は貿易戦争が再燃し、日本もひとり寝を楽しでいるわけにはゆかない。尤も森友学園や加計学園の獣医学部創設の問題に関する政府の秘密文書が暴かれて、安倍内閣の足元もいよいよおかしくなってきた。
| Diary | 22:03 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
映画「ペンタゴン・ペーパーズ」

JUGEMテーマ:映画


 女優メリル・ストリープの本当の素顔というものは、「アイアン・レディ」のマーガレット・サッチャー首相か、それとも「プラダを着た悪魔」のミランダ・プリーストリー編集長か、それともこの映画のワシントン・ポストの社主キャサリン(ケイ)・グラハムの優雅で慎ましい人物か、これらのうちどれにに一番近いのだろう?この映画ではキャリアー・ウーマンにして社会的にワシントンの上流階級に属するキャサリンが、自分の父が買収した地方新聞をいかに経営して行くか、(しかも父の後経営を継いだ夫のフィリップは自殺している。)新聞社としての使命をいかに果たしてゆくのか、もしかすると牢獄にぶち込まれる可能性も大いにある深淵を覗きながらも、優しいだけではない最後は力強く、はっきりと決断する姿を見せてくれる。
 今では新聞社の社主という役目はあまり意識されなくなってしまった。(近年はインターネットの発達で新聞の影響力自体が大分落ちているが・・・)かって明治時代の「時事新報」の福沢諭吉先生を別格にしても、朝日新聞の村山龍平、読売新聞の正力松太郎などの紙面に対する影響は非常に大きいものがあった。この混迷の時代に新聞の指導性がもっとあってもよいと思うが・・・
 1971年リチャード・ニクソン政権下で作成されたベトナム戦争に関する秘密報告書(いわゆるペンタゴンペーパーズ)をダニエル・エルズバーグが密かに持ち出し、ニューヨーク・タイムズの記者ニール・シーハンに見せたが、続いてワシントン・ポストにも見せて、それがベトナム戦争の秘密が公開されるきっかけとなった。法廷でアメリカ憲法修正第一条「言論の自由」の法廷闘争になり、新聞側は勝利した。折からのベトナム反戦運動の高まりの中で。
 有能な編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は最初から攻撃的な記者魂の持ち主で、編集室を取り仕切るが、ベトナムの戦場で多数の若者を死傷させる悲惨な現状を止めさせるべき、もう少し人道的な論議が沸き上がっていてもよかったのでは。いつもより物足りなかった。映画は最後にウォーター・ゲイト事件の始まりを描写して終わる。ワシントン・ポスト紙の若き記者たち、カール・バーンスタインやボブ・ウッドワードはここには登場しない。監督 スティーヴン・スピルバーグ
| Movie | 22:39 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP